ロッドのお取扱い、お手入れについて

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快適に、またトラブル無く釣りをお楽しみ頂くためにも、以下の点に注意してお使い頂きます様お願い申し上げます。

1.フェルールの抜き差しについて

  • 竹竿のブランクは捻じれ、ひねりには強くありません。フェルールを継ぐ時、抜く時はひねらず真っ直ぐに抜き差しして下さい。
    継ぐ時は軽くはめた状態でガイドの通りを確認し、良ければ真っ直ぐに差し込んで下さい。
  • 継ぐ前にはオスのスライド部を柔らかい綺麗な布などで拭いて下さい。また、メスのスリーブ内部も異物が無いか良く確認して下さい。砂やほこりなどが付着したまま継ぎますと傷が付いて、最悪の場合は固着や破損の原因になります。
  • 入りにくい場合は無理に力づくではめない様にして下さい。
    空気中の湿度や気温変化で入りにくい場合もあります。出来るだけ奥まで入る様調整はしていますが、100%入らない場合もあります。
    ある程度奥まで入り、大きな抵抗を感じましたら、それ以上は無理に入れない様お気を付け下さい。
    固着してしまい抜けなくなる恐れがあります。
  • 逆に中途半端な挿入での使用もお避け下さい。
    オスフェルールの折れ、メスフェルールの変形の原因となることがあります。
  • 入りにくい場合の応急措置
    まずはオスフェルールのスライド部を乾いた布で良く拭いてから継いでみて下さい。
    それでも入りにくい場合、小鼻の脂、またはワックスを少々オスのスライド部に塗る方法があります。
    塗った後布で軽く拭いてから継いでみて下さい。最初に比べてスムーズに入ることと思います。
    ただ、いずれにしましてもほこりなどが付きやすく、傷や酸化による固着の原因になる恐れもありますので、使用後は早めの清掃をお勧めします。
    お手入れにつきましては3.の「 お手入れ 」の項をご覧下さい。

 

  • 抜く際はガイド上を握ったり、手が滑った時にすぐにガイドに当る位置は握らないで下さい。
    手を怪我したり、ガイドの破損に繋がる恐れがあります。

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  • 抜く動作ですが、左右どちらでもやり易い方で結構ですので、片手はフェルールのティップ側15cm程のところ(フェルールを中心に最初のガイドのすぐ外側)を握り、もう片方の手はフェルールのバット側15cm程のところ(ここもフェルールを中心に、最初か2つ目のガイドのすぐ外側)を握ります。バット側を持った方の肘はバットを挟みつつ脇にしっかりと固定します。ティップ側を持った手の肘は身体正面又は側面方向へ軽く伸ばし、抜く為の体制を整えます。
    準備ができましたらティップ側の手はしっかりと肘を伸ばしつつ、バット側の手は軽く引きつつじわっと、しかし思い切って抜いて下さい。
    この時にねじらずひねらずに行って下さい。また、抜ける方向(特にティップ側)に障害物が何も無い場所、または何も無い事を確認の上抜去動作を行って下さい。抜けた拍子に何かに当りますと破損につながります。
  • 抜く時に手だけでは滑って抜けない場合は乾いたタオル、または付属のラバーグリッパーをブランクに巻き、そこを握って抜いて下さい。hold-3
  • 一人で抜けない場合は二人で行って見て下さい。但し捻り、曲りは入れない様に真っ直ぐに行って下さい。
    それでも抜けない場合はそのままティップなどを折らないように慎重にお持ち帰り頂いた上でご相談下さい。
  • 気温が高めの時に継ぎ、抜く時に気温が下がっていますとフェルール内部の空気が冷えて負圧になり、抜けにくくなることがあります。フェルールをしばらく手で温めてから抜いてみて下さい。

2.実釣時のお取扱いについて

  • 毛鉤が木の枝などに引っ掛かった場合
    ライン、リーダーを手繰り込んで竿先(トップガイド)で鉤を外すことは絶対にお止め下さい。
    ティップ折れの大きな原因になります。必ず、逆にラインを竿先から多く出して、竿を安全な所に置くか、または手でしっかりと保持し、ラインやリーダーを持って引張って回収される事をお勧めします。
    毛鉤1個を失うより折れた場合の方がはるかに高くつきます事をお忘れなく。
    もちろん毛鉤が残ってしまった場合は何とか回収できれば、自然の為に良い事は言うまでもありませんね。
    また竿であおって外す事も折れの大きな原因です。こちらも絶対にお止め下さい。
  • 魚とのやり取り
    魚が掛り、負荷が掛かった状態で竿を真っ直ぐ上方へ立てる程(ラインと竿の角度が鋭角に近づく程)ティップへの負担が大きくなり、ティップ折れにつながる可能性が大きくなります。
    竿を立ててやり取りするより横へ寝かせてやり取りした方が竿への負担は小さくなり、また竿の弾性を有利に活かすことができます。
  • 取込みについて
    やり取り同様竿を真っ直ぐに立てた状態で取込み動作を行う事もティップに大きな負担を与えます。
    できればロッドハンドを体の後ろに廻し、竿を前方に寝かせるようにし、少しでも竿とラインの成す角度を大きめに取って取込みをした方が竿の弾力を活かしつつ破損のリスクを減らすことができます。
    またこの時ガイド、リール面を上に向けますと、今までと反対方向の曲りを与えることになり、常に一定方向への曲りによる癖が付くのを緩和できます。
  • キャスト時
    キャストの際は必ず周囲の状況(頭上、前後方、側方の樹木、岩などの存在)を良く確認してから行って下さい。
  • その他
    休憩時などは地面に横にして置いたりしますと誤って踏んでしまう事も起き得ます。
    出来るだけ灌木の枝などを利用し、安全な所に立てておかれた方が無難です。
  • 雨天での使用
    雨天時の使用は極力避けて頂く事をお勧めします。
    使用の経過と共にフェルールとブランクの境の塗装にクラックが入ってくる場合がありますが、ここから水が浸入しブランクの竹に浸透しますと突然折れる可能性があります。
    また塗膜を貫いて竹材の表面まで達する傷がある場合も同じ危険性を持ちます。
    多少の雨で短時間であれば問題は無いと思いますが、出来るだけ使用を控えた方が良いでしょう。
    雨天の使用で折損が起きた場合は保証の対象外となりますのでご留意下さい。
    塗装のクラックやスクラッチ傷のタッチアップはいつでもお気軽にお出し下さい。

3.お手入れ、保管について

使用後のお手入れ

  • 使用後は乾いた柔らかい布で水気を拭取り、リールシートキャップに水が溜まっていれば強く息を吹きかけて水気を飛ばし、竿袋にいれたうえ、ケースなどに収納してお持ち帰り下さい。
  • ご自宅に戻られましたらケース、竿袋から取出し、日光の当たらない処で良く乾燥させてから再度袋に仕舞い、ケースなどに収納の上直射日光が当たらず、高温にならない処で立てた状態又は横の状態で保管して下さい。
  • 袋に入れたままフラップを閉じ付属のループでぶら下げておいても良いかと思います。
  • 特に暑くなる夏場などは車中に長時間放置しない様にご注意下さい。
    高温が懸念される場合は、上に毛布や断熱シート、マットを掛けるか包むなどして直接高温にさらされる事の無いようにお気を付け下さい。
  • 時々フェルールのお手入れをしてあげて下さい。
    オスフェルールのスライド部は乾いた布、またはアルコールを浸した布で拭き、メスフェルール内部はアルコールを浸した綿棒で掃除して頂く位で十分です。
    特に現場で入りにくく、鼻の脂やワックスを使用した後は早めの清掃をお勧めします。この際に嵌合部以外のバーニッシュ塗装にアルコールが多量に付着しますと、塗膜に影響を及ぼしますのでご注意下さい。
    清掃後オススライド部とフェルールプラグのコルク部にワックスを塗布し、軽めに拭取ってから保管して頂くと嵌合部の酸化を抑えることが出来ます。尚、ご使用の際には綺麗に拭取ってから継いで下さい。
  • フェルールは長期間継いだまま放置しない様にして下さい。
    固着の原因になりますので、使用後は必ず抜いて保管して下さい。
  • フェルール嵌合部(特にオススライド部)には金属磨き、研磨剤などは絶対に使用されない様お願いします。
  • ハンドルの手垢汚れは水で濡らしたハンドルを中性洗剤(台所洗剤で十分です)で、手、または柔らかいスポンジで洗い、その後すすいで軽く拭いて頂くだけで結構綺麗になります。
    硬いスポンジ、たわし、歯ブラシなどはお勧めできません。
  • ブランクのお手入れは柔らかい乾いた布で乾拭きして頂くだけで十分です。
    アルコールなどは塗膜の溶解に繋がりますのでご使用にならないで下さい。
  • ブランクに粘着力の強いテープ、シールなどを貼りますと剥がす際に塗膜が剥離する危険性がありますので、何かを貼り付ける事はお避け下さい。
  • ブランクの塗装はお渡しの段階では触っても特に問題は有りませんが、例えるなら脱皮後の蟹のようなもので、硬化は完全に終了していません。
    出来ればご使用は最終塗装より1か月経過してからをご推奨致します。もちろん1か月以内は使用してはいけないという事ではありません。
    半年を経ました後には塗装も大分締り、1年以降はベストと言える状態に成る事でしょう。
    塗装の締りと共に張りも増していきますのでその変化をお楽しみ下さい。

4.最後に

  • 以上の注意点を必ずお守り頂きご使用下さい。
    注意点をお守り頂けずに破損、損傷が発声した場合は保証対象外となり、有償での修理となります。
  • 以上、長々とご説明致しましたが、何事につけ無理をしない、横着をしない、捻じらないなど最低限の事をお守り頂ければ竹竿は意外に丈夫なものです。
    その反面意外と簡単にポッキリと折れる事もあります。大方は使用者の不注意による場合が多いのですが。
  • 何かお知りになりたい事、疑問点、ご相談などございましたらお気軽にメール、お電話などでご連絡下さい。
    分かる範囲ではありますがお答えさせて頂きます。

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