悩ましきリールの修理

 

Bill Ballan The Trout Large タン交換

Bill Ballan The Trout Large

最近別々の友人からほぼ同時にリールの修理を受けました。
1つがビル・バランのザ・トラウトのラージ、もう1つがグレインのオーブという超軽量のリール。

ビル・バランの方は無き友人からの遺品という事なのですが、タンの先端が摩耗してしまい、回転中にギアの山と干渉し、引っ掛かって止まってしまうとの事。
ここで閃きました。タンの予備があるという事を。Bill Ballan タン
実は数年前に同じくビル・バランの修理を受けた時に製作してもらいお店に収めたタンの在庫がまだ残っていたのです。
さすがにステンレスの加工は私の工房では出来ません。知り合いの切削加工屋さんに頼んで5個作ってもらったのです。
最低5個という事で作ってもらったのですが、それでも単価はまあまあの価格になってしまいました。
しかし、同じ症状の修理がこれまで4件あり、なんだかんだと在庫が1個だけになってしまいました。

これまで見たビルさんのリールは4種類なのですが、有難い事にタンが共通しているのです。
ギアが減ってしまったのは何ともなりませんが、タンならばなんとかなります。
これぞSimple is Best という感じです。交換ついでに各所清掃、グリースを施し、綺麗に磨いてから納品させて頂きました。

もう1つのオーブという名のグレインで出している(いた?)リール。
小径、超軽量、しかもラージアーバー。

スプリング交換

超軽量化の為か凝ったドラグは一切無し。0.57mmのステンレス線を曲げ加工したスプリングを使っています。
このスプリングがヘタッたものか、もともと張力が少ないのか、友人曰く「ラインが勝手に出てきてバックラッシュしてしまう」との事。

同じ径のステンレス線を使っても同じことになるだろうとスプリングの張力向上を図るために0.8mmのピアノ線を使う事に。
元のスプリングに倣い同じように曲げ加工し、取付け部の溝はきつめにはまるように拡幅し取付、固定を実施。
クリックがしっかりとなり、バックラッシュも無くなりました。少々荒い感じの音になりましたが。

これらの範囲の修理ならなんとかなりますが、ディスクドラグ品や凝ったクリック構造ですとお手上げになってしまいそうです。
そこまでやれる(部品を作れる)技術、機材が有ればベストなんでしょうけど、基本が竿の制作であり、機械加工屋さんでは無いのでリールの修理というのはなかなかに悩ましいものです。


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